雑感

まずは『普通の』子ども・若者の声を聞くことから始めようよ

『現代の子ども・若者たちが求めているものは何か』そんな内容の話をなぜ大人や支援者だけでしようとするのか。なぜメディアやイベント等に露出する著名な支援者や当事者にだけ聞こうとするのか。なぜ自分たちの身近な街の中にいる子ども・若者本人に直接聞…

【研修講師】埼玉県学童保育指導員学校『特に配慮を必要とする子どもの理解と支援』

本日は埼玉県学童保育指導員学校の分科会講師のお仕事。 ソーシャルワーカーかつ弁護士の立場から児童虐待対応や虐待が生じてしまっている子どもや家族の支援として学童保育に期待したいことをお話しました。今年は専門職大学院での学びを踏まえて内容もグレ…

子ども家庭福祉に関する様々な制度啓発のための発信や報道へのモヤモヤ

児童虐待防止月間ということもあり、子ども家庭福祉に関する様々な制度啓発のための発信や報道がされている。それは大事なことだと思いつつも、特定の制度推進のために他の制度への過剰な批判、ネガティブキャンペーンを行ったり、あるいは当該制度について…

人権擁護の専門職によるハラスメント被害についてのモヤモヤ

話題の某社会福祉法人理事長のハラスメント事件。争う意向のようなので現時点での事件自体についての評価は差し控える。ただ、一般論として福祉業界であってもありがちなことではあると思う。人権擁護をうたっていても人権侵害は生じる。僕も今年は福祉業界…

子ども・若者の家出ニーズが急増していることについて

ここ数年の子ども・若者の相談を受けていてプチ家出ニーズが急増していると感じる。 良くも悪くも子ども・若者の家出のハードルが下がっている。それは昨今の虐待報道やインターネットを通じた情報の普及、啓発、思春期年代以上の子ども若者のニーズに対する…

子どもファーストという言葉を使わないほうが良いのかもしれない

子どもファーストとか子どもの最善の利益という言葉は本来、様々な思想、利害の対立を前提にしつつも子どもを共通の目標として同じ方向をみて協働していこうとすることに意義があったはず。 決して子ども以外の利益を蔑ろにしたり犠牲にすることを積極的に許…

ソーシャルワークの価値を大事にした法令遵守・コンプライアンスとは

福祉実践現場に弁護士が関与することの意義のひとつは法令遵守やコンプライアンスの強化。想いばかりが先行しがちで法的根拠の意識が薄くなりがちな現場に法的根拠を意識づけさせることの意義は大きい。法的根拠を意識することで自信を持った実践が可能とな…

特定の支援団体内でのワンストップ支援へのモヤモヤ

居場所のない子どもや若者の支援として特定の団体内で箱物施設をつくってワンストップで手厚い支援をすることの是非について考えてみた。 安心安全な箱物をつくり、その中で家庭的な関わりを展開する。それが子ども・若者支援の王道のように考えられている。…

行き場のない子ども若者支援における就労支援についてのモヤモヤ

住込就労は支援者が楽するための手法ではないです。 行き場のない子ども・若者支援の手法として住込就労という方法があります。ですが僕は基本的には住込就労はおすすめしない。 誤解のないように僕自身、住込就労は貴重なインフォーマルな社会資源のひとつ…

アドボカシーや権利擁護について

諸事情により最近、アドボカシーとか権利擁護とかに関する書籍を色々読み漁ってます。 アドボカシーも権利擁護も何となく普段から用いているけれど論者によって捉え方やイメージが微妙に異なること、特に司法と福祉とでだいぶ捉え方が違うという違和感。この…

既存の支援枠組をより良くしていく意義

僕は日頃既存の支援枠組からはずれる人の支援の話をよくするけれど、これは既存の支援枠組がダメだと言いたいわけじゃない。むしろ既存の支援話組が大事だと思っていて、現にそこで救われている人たちがたくさんいる。 何か事件が起こるたびに既存の支援枠組…

【書籍感想】『子ども福祉弁護士の仕事』

平湯先生の書籍。子どもと福祉と弁護士との間で揺らぐ僕にはとても惹かれるタイトルだったので拝読しました。 子どもの権利保障の考えがまだ当たり前ではなかった時代から粘り強く活動を続け途を切り開いてきた平湯先生をはじめとした諸先輩方の尽力には頭が…

弁護士は権利擁護の専門家といわれることへのモヤモヤ

弁護士は権利擁護の専門家みたいに言われるけれどその根拠はどこにあるのだろうかと思うことがある。 個々の弁護士の中には素晴らしい実践をされている先生も確かにいる。でもそれはその先生の属人的なポテンシャルに支えられたものであり資格に標準的に担保…

みんなで支えていく

昨年末あたりからアフターケアで関わっている若者たちが立て続けて危機的な事態になり対応で駆け回っています。 以前の僕であったらがっつり抱え込みもうとして翻弄され消耗していったと思うのだけれど、今は地域の色々な方々とのつながりに助けられていてど…

ネグレクト概念の肥大化へのモヤモヤ

ネグレクト概念の肥大化への懸念。 身体的虐待等と異なりネグレクトは望ましい子育てのあり方と比較した相対的な虐待概念なので、科学的知見や技術の向上により子育てへの要求水準が高まれば高まるほど、それとの対比によりネグレクトの対象も広がってくる。…

家出した若者の相談対応という仕事

家出した若者からの緊急相談。 家には帰りたくない。 でも児相やシェルターも行きたくない。 年齢や状態的に無理やり保護も難しそう。 仕方がないのでひたすら愚痴を聞く。 なんか変な奴だったけれど なんとなく話を聞いてもらえた。 なんとなく悪い気はしな…

未成年後見人選任の必要性に関する書面作成のモヤモヤ

未成年後見人の選任を求める申立書等を起案する際に未成年者への支援の必要性を裁判所にわかりやすく説明する必要があり、書面の中でこの子にはこんなところに課題があるとか、こういう心配な点があるということを強調して書き連ねることになる。 そして、そ…

児童福祉と障害者福祉の狭間を支援するモヤモヤ

児童福祉と障害者福祉の狭間についてあれこれ考えさせられる今日このごろ。 制度としてはうまく設計できているようだけれど、医療モデル寄りの措置を主とする制度と社会モデル寄りの契約を主とする制度の違いは大きくてこの違いが実務では様々な切れ目やズレ…

愛着障害の誤用へのモヤモヤ

シェアすること自体躊躇したけれどそれはそれでモヤモヤが残るので注意喚起の意味も含めて紹介。 愛着障害についての理解が広まる一方で愛着障害の誤用みたいなものも広まっている。ときには子ども関係の支援者が率先して誤用を広めてしまっているようなこと…

萌え絵ポスター問題についてのモヤモヤ

一部で話題になっているいわゆる萌え絵ポスター問題についてオタクカルチャーや萌え文化に親交ある者として一言。 あの手の表現物を好ましく思わない、性的嫌悪感を抱く人がいることはわかる。嫌なら見なければいいという問題ではないということもわかる。 …

『過去』から『現在』そして『未来』へつなぐお手伝い

アフターケアで関わっている若者が以前お世話になった施設にいってみたいというので車を走らせ一緒に施設訪問。 若者の心境はさながら実家を飛び出して長らく寄り付かなかった実家に数年ぶりに顔を出すような心境。はじめは少し緊張した様子をみせていたけれ…

自立しなくても良いんじゃない?

矢嶋桃子さんの社会的養護のアフターケアに関する記事。 アフターケアの現場で感じる葛藤や世の中の動きや制度との矛盾についてとても丁寧にまとめられています。 「自立支援」という言葉へのモヤモヤは僕もよく感じる。 以前の虐待防止学会のシンポジウムで…

児童相談所と警察の情報共有についてのモヤモヤ

僕は警察との連携、情報共有については消極的な立場。理由はソーシャルワークとは異質なものになっていってしまうから。 児相からソーシャルワークを放棄するというのであればそれもひとつの制度論なんだろうけれど僕は嫌だな。 ところで消極意見の立場の理…

子どもアドボカシーについてのモヤモヤ

子どもアドボカシーに関して記事で触れられている基本的な考えに異論はなくこうして関心が高まっていくことも喜ばしいことだとは思う。でもなぜだかモヤモヤも残る…。残念ながらそのモヤモヤをまだ僕自身、言語化しきれていない。 以下、できる範囲で文章化…

社会的養護アフターケア事業所事例検討会Vol.2

前回に引き続き社会的養護のアフターケアに関する事例検討会を行いました。 千葉、神奈川のアフターケア事業所職員の他、自立援助ホーム職員、弁護士さん達が参加。今回も司法福祉千葉モデル勉強会でもおなじみPCAGIP法を用いて、千葉や神奈川のアフターケア…

Professional Lawyers Japan 2019

知人の先生方何名かが登壇されていたこともあり面白そうなので参加してきました。現在、弁護士としての軸足が揺らいでいる中で新しい弁護士としての働き方に触れることで何かヒントを得られないかという想いもありました。 マーケティングの話、AI活用の話…

どんなことがあっても

以前に個人的に関わったことのある方の孤独死の報に接する。親類や友人との関係も断ち、支援も拒むようになり関係が途絶えていった方だった。いずれこうなる予感もあっただけに複雑な心境だが今はただご冥福をお祈りするばかり。 人ひとりの人生を他人がどう…

生活自立支援施設「はまかぜ」を訪問してきました

先日は日本三大寄せ場のひとつ寿町にある生活自立支援施設「はまかぜ」に訪問してきました。 生活自立支援施設とはホームレス状態にある方に一時的な宿泊場所を提供するとともに生活や就労のお手伝いをして自立を支援する施設です。「はまかぜ」さんは10年…

児童福祉と精神医療・精神保健福祉の狭間

先日は千葉県精神保健福祉士協会の研修会に新人精神保健福祉士として参加。衝動性の高さ等からくる問題行動を理由に若い頃から精神科病院にかかり長期入院状態になってしまっている『ニューロングステイ』のケースに関する勉強会。 入院しても閉鎖病棟の中で…

「子どもの最善の利益」という言葉の功罪を考える

「子どもの最善の利益」という言葉の功罪を考える…。 様々な社会問題や利害の対立があったとしてもせめて「子どもの最善の利益」という共通の目的に向けて協働していこうという考え自体は素晴らしいと思うし、僕自身そうした考えを基本的に支持して研修等で…