ソーシャルワークの価値を大事にした法令遵守・コンプライアンスとは

福祉実践現場に弁護士が関与することの意義のひとつは法令遵守やコンプライアンスの強化。想いばかりが先行しがちで法的根拠の意識が薄くなりがちな現場に法的根拠を意識づけさせることの意義は大きい。法的根拠を意識することで自信を持った実践が可能となる。
一方で法令遵守やコンプライアンスの要請を意識しすぎるとソーシャルワークよりも法令遵守を過度に優先するようになり、画一的な運用に傾く。そうなると制度ワーカーと揶揄されるような法令の枠組内での実践に留まり、法令や社会の枠組すら変えていこうとするソーシャルワーク実践が萎縮していってしまう。
福祉が大事にしている曖昧さ、不確実さを大事にして常に法令の限界、余白と向き合い使いこなすことが福祉現場には求められている。優先されるべきはソーシャルワークではないか。福祉の最後の拠り所はやはり最後は想いではないか。
そんなソーシャルワークの価値、福祉の想いを大事にした形での法令遵守・コンプライアンスはどうあるべきか。これを考えていくのは弁護士ではなくソーシャルワーカーだと思う。弁護士が法令遵守に関してできるのは司法という異質性のSVであり異質性故の限界と踏み越えては行けない部分がある。福祉という同質性のSVができるのはソーシャルワーカーしかいない。
司法における権利擁護と福祉における権利擁護は同一ではない。違いを意識しないと。福祉現場に関わる弁護士もここを履き違えないようにしていかないと良かれと思って福祉をソーシャルワークを壊しかねない…。そのためにももっとこの違いを言語化していきたい。