子ども・若者の家出ニーズが急増していることについて

ここ数年の子ども・若者の相談を受けていてプチ家出ニーズが急増していると感じる。
良くも悪くも子ども・若者の家出のハードルが下がっている。それは昨今の虐待報道やインターネットを通じた情報の普及、啓発、思春期年代以上の子ども若者のニーズに対する家庭の包摂機能の低下、様々な支援機関、制度の創設による支援の般化等色々と要因が考えられる。
家出をしてきた子ども若者の話を聞いていると深刻な虐待を受け続けていたような人から、虐待とまではいかないけれど親との複雑な関係性に葛藤を抱える人、その子自身の育ちの中で抱える名前のない辛さを誰かに吐き出したい人まで様々。
 こうした多様なニーズがすべて「虐待を受けていて家にいられない」という言葉で説明され様々な支援機関に寄せられるようになったので支援者側もアセスメントや対応を見誤らないようにする必要がある。
緊急性の高いものは寝床を確保する必要があるので児相等の公的機関につないだり、公的機関を嫌がる人にはあの手この手の裏業駆使したり色々な人に頭下げてインフォーマルな機関にお願いしたりする。
こういうときに意外と悩ましいのがプチ家出ニーズの子ども若者の行き場。家にはいたくないけれど親との関係性は維持したい、学校やバイト、友人関係は続けたい、ひとりで自立しようとまでは思わないといったちょっとの間家にいたくない、親と距離をおきたいというニーズに柔軟に対応できる家出先が意外に少ない。児相や子どもシェルターのようなフルコースの支援枠組だと重すぎてニーズに合わない。仕方ないので遅くまで愚痴につきあうようなこともしばしば。
これは何年も前から構想を抱いていることだけれど各地域に健全な家出、深夜徘徊ができるプチシェルターみたいなものがあると良いなと思う。出入り自由、携帯も持ち込み自由、支援臭もなくお客様扱いもしない、ちょっと道から逸れたチョイワルでクールな雰囲気もあるけれど、でも一応法に触れないよう公的なお墨付きがあるところ。
従前であれば学童保育や定時制高校、学習塾、子ども食堂なんかが部分的にそうした機能を果たしていたと思うし公言していないだけでそうした機能を果たしている資源はたくさんあるからそれをもう少しセミフォーマルなものにしていくイメージ。これを仕組み化するだけでこの年代の子ども若者のニーズや支援をめぐる問題がかなり解消する気がする。本気で仕組み化考えてみようかな。