ネグレクト概念の肥大化へのモヤモヤ

ネグレクト概念の肥大化への懸念。
身体的虐待等と異なりネグレクトは望ましい子育てのあり方と比較した相対的な虐待概念なので、科学的知見や技術の向上により子育てへの要求水準が高まれば高まるほど、それとの対比によりネグレクトの対象も広がってくる。医療ネグレクトや教育ネグレクト等も同様で医療技術や教育手法が発展すればするほど対象は肥大化していく。
一方で核家族や片親世帯が広がり家庭自体の養育能力が低下が進む一方で子育て支援の制度整備も追いついていない昨今ではこうした高度化する子育て水準をこなしていくこと自体かなりハード。結果、ネグレクトとして虐待件数が増えていくのは必至。
子どものために注意関心を向ける目がそれだけ広がっていくと考えればそれはそれで望ましい成果ともいえるかもしれないけれど、同時に親側のプレッシャー、負担感も半端ない。そうした親側への配慮、手当はどれだけできているのだろうか。
子を産み育てることにどれだけ寛容な社会になっているのか。子どもを産むことに消極的になり少子化が進んでいくことをどう考えていくのか。このあたりはもう少し国民的な対話と議論が必要ではないか。