債務整理とソーシャルワーク

弁護士とソーシャルワーカーの恊働を考える会第2回目の勉強会を開催しました。今回のテーマは『債務整理』。

債務整理は弁護士が扱う事件分野の中でもメジャーな分野であり、かつある程度の定型処理に馴染む分野でもあると言われています。誰がやっても成果は変わらないのでやりがいを感じないというような消極的な意見も耳にします。でも、本当にそうなのか。

多重債務問題の要因として障害や依存症、家族問題、その他さまざまな生活課題が影響していることは少なくないです。そうした個別化した事情についても併せて向き合い支援していかなければ本当の意味でのクライエントの利益にはつながらないのではないでしょうか。

また、債務整理の依頼者の中には指示された通りの書類作成や準備ができなかったり、債務整理中にも関わらず再び浪費をしたり、弁護士に嘘をつこうとしたりする方もいます。

こうした方々は問題ある依頼者という形で敬遠されたり、あるいは自己責任として片付けられがちです。でも、ソーシャルワーク的視点でとらえなおすと実はそうした方こそ支援を必要としているのであって支援につなぐことを考えるべきではないでしょうか。

刑事司法の分野ではソーシャルワーカーとの連携が強調されるようになりましたが債務整理の分野でもソーシャルワーカーとの連携、協働がもっと議論されて良いのではないか、そんな問題意識から今回の勉強会を開催しました。

勉強会の中では実際にソーシャルワーカーとの連携、協働の必要性を感じたケースについて数名の弁護士から発表を行いました。中でも山田先生の管財人の立場から考える支援とジレンマの話はとても面白かったです。というかこんな管財人普通いねぇ笑。

ソーシャルワークの観点から債務整理事件をアセスメントしていく視点や発想は、申立代理人、管財人、裁判官等の債務整理事件に関わる法曹全体が共通認識を持っていくようにしないといけないなと改めて感じました。

また、どの先生の発表の中でも弁護士一人がやる気出してスタンドプレーしていてはダメということが共通していたと思います。そうした弁護士のスタンドプレーではかえって本人の意思決定を蔑ろにした歪な支援になってしまうおそれもあります。

福祉、医療、保健といった支援機関との連携、協働が必要ですし、更には依頼者に弁護士とは別の立場から寄り添い伴走し、そうした社会資源とつないでいくソーシャルワーカーの存在が必要です。

現状こうした領域でソーシャルワーカーがきちんと仕事として報酬を得られる形で業務をしていけるような制度設計がないのが悩みの種。法テラスも司法ソーシャルワークをうたうのであればこうした部分にこそ予算をつけてほしいです。

また弁護士ソーシャルワーカーが連携した業務をしていくうえでは弁護士法72条の存在がひとつの障害にもなります。中長期の視点では弁護士法の改正も視野に入れた取組もしていく必要があるでしょうね。

たくさんの気づきを得た時間でした。このテーマはまだまだ掘り下げようがありそうなのでまた近いうちに第2、第3回と開催していきたいですね。今回は司法側からの問題提起が主だったので福祉側からみた話も聞いてみたいです。

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さて、今月20日には第3回目の勉強会も開催します。

今度は『家事事件』をテーマにディスカッションしていきたいと思います。ご興味ある方いましたら是非ご参加ください。


3月20日 家事事件とソーシャルワーク

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