【講義】淑徳大学〜卒後教育と人間開発〜

地元千葉県内の社会福祉系大学である淑徳大学の卒後教育と人間開発という授業で講義を担当させて頂きました。地元の福祉系大学で講義の機会をいただけて光栄です。

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子ども若者支援領域でのソーシャルワーカーと弁護士が連携した実践例を参考にしつつ、弁護士と社会福祉士・精神保健福祉士という異なるアイデンティティを併有しながら実践することの難しさやしくじり話、そしてそんな中途半端な立場だからこそ感じること等を中心にお話しました。

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子ども若者支援領域でのソーシャルワーカーと弁護士が連携した実践としては少年司法や子どもシェルター、児童相談所への弁護士配置等があります。僕もこれまでこれらの実践に携わってきましたがそこにはメリットだけでなくデメリットもあると感じています。

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実践の現場ではしばしば弁護士や法律制度による魔法の杖的な解決が過度に期待されてしまったり、司法の下請け的、あるいは司法的な価値観、発想に囚われてしまう「福祉の司法化」という事象が生じている。

子ども家庭福祉領域はもともと司法と福祉の実践の距離が近いのですが基盤の価値は異なるため混乱も起きやすいです。特に近年は司法関与等が急速に進められ、司法制度が福祉臨床を侵食し現場におけるソーシャルワーカーのアイデンティティの混乱を生じさせているとも言われています。

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だからこそソーシャルワーカーとして大事にしていきたいこと、アイデンティティや強みを日々意識していく必要がある。法制度も大事だけれど福祉が大事にすべきものは法制度の外にあるかもしれない。司法的発想で子どもへの危難だけを除去しようとするのではなく子どもを取り巻く人々の抱える困難や構造に目を向けていく必要がある。そこに弁護士にはないソーシャルワーカーの強みがあるのではないか。

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これから国家試験の勉強をして社会福祉士等を取得しようとしている学生に対して、ソーシャルワーカーのアイデンティティを問うのは難しいかなとも思いましたが、この問いかけに対してアンケートでは学生さん達それぞれが考えるソーシャルワーカーの強みを書かれていて、とても頼もしく思いました。