幼少期に受けてきた虐待がその後の成育に大きな影響を及ぼた刑事事件の弁護を担当して

今日は私が弁護を担当した裁判員裁判事件の判決日でした。
幼少期に受けてきた虐待が依頼者のその後の成育に大きな影響を及ぼしひいては事件の動機形成等にも影響するようになったというのが弁護側の大筋の主張でした。
結果、量刑的にはやや不満が残る部分はありましたが争点については弁護人側の主張がほぼ全面的に認められその旨が判決理由中の判断にも丁寧に示されるという成果を得ることができました。
 依頼者は非常に複雑な生い立ちを抱えてきた方で私も受任当初はどのように向い合っていけばいいか試行錯誤でした。受任から公判まで1年半以上かかったこともあり、主張方針を何度も練りなおすことになりその中で私の事件に対する向き合い方も変化していきました。ちょうどワーカーの勉強を始めていたこともあり、だんだんとロイヤーとしてのそれよりはワーカーとしての関わりに興味がシフトしていった部分もあったと思います。弁護人という役割、裁判という枠組上ワーカーとしての関わりにも限界があり色々ともどかしさを感じる部分もありました。
依頼者の方が最終的にこの結果をどう受け止められたのかはわかりませんが、ワーカーとして少しでも意味ある関わりが出来たのであれば本望です。
 
この事件に限らず児童虐待を受けてきた人で適切な支援やケアを受ける機会を得ないまま年を重ねて大人になり、虐待の影響による生きづらさを抱えながら生活をしている人が増えているように感じます。こうした方々への支援のあり方なんかについても色々と考えさせられました。