日本弁護士連合会人権大会第3分科会「人口減少社会を乗り越える地域再生の社会保障」に参加しました。

本日は日弁連人権大会シンポジウムにオンライン参加。
僕は子ども・若者分野が専門と思われがちですが、個人的には地域福祉やまちづくりの方が原点でありこれまでも専門的に取り組んできました。そんな僕にとっても非常に興味深いテーマでそうそれ、と何度頷いたか。
人口減少社会の中で社会保障がどうあるべきか、各自治体福祉がどうあるべきか。再分配である以上は財源の問題も決して無視することはできない。安易な民間委託の推奨が国の責任を地方に投げる動きは牽制しつつも、でもそれぞれの地域単位で地域ニーズにあった形で何ができるかを考えなければいけないのも事実。
子ども家庭福祉や児童虐待の問題は現場の専門性の不足や制度の問題点等がよく指摘されますが、個人的には子どもに関することしか見れていない人が多くて、その子どもや家族が生活する地域やまちをどう捉えどう形作っていくのかという視点やグランドデザインができていなかったことの影響が大きいと考えています。
令和の今になってようやく職員の担当ケース数が多すぎることや、措置先社会資源が不足していることが議論され始め、急ピッチで職員増員や資源増加が進められていますが、こんな問題はそれこそ5年10年前から指摘されていたことであって、地域やまちに目を向けて適切な調査・実態把握ができてこなかった証左でしょう。
正直、地域福祉やまちづくりは司法や弁護士とはかなり相性悪い問題だと思っています。民間事業者である弁護士中心の取組は新自由主義的にも親和的でやり方を間違えれば、公助や地域福祉を弱める方向にも働いてしまう。特定の立場の権利擁護に徹する弁護士と地域住民みんなの幸せを考えなければいけない地域行政がどのように折り合っていけるか。
どの登壇者のお話もとても示唆に富んでいて勉強になりましたが、個人的には宝塚市長で弁護士の山崎さんのお話がとても自分の問題意識と重なりました。
地域福祉やまちづくりへの弁護士・弁護士会の関わりというと法律相談会の開催や法務案件へのバックアップが中心に考えられがちだけれど、自治体内部の職員をスペシャリストとして養成していく人材育成としての関わりがより大事ではないかという指摘。
これは僕自身が自治体の法務に携わる中で感じることです。弁護士ひとりが救える人々の数には自ずと限界がある。でも自治体内部のスペシャリストが育てばよりたくさんの人々の権利擁護が実現する。すべての案件について弁護士の単価にあわせようとすることはコスパが悪すぎるし無理がある。
弁護士への公平な仕事の分配や業務改革という視点も確かに大事だけれどこれは弁護士を中心とした見方。その地域やまちを中心として捉えたときに何が必要なのか、何が求められているのかという視点をもっと持っていく必要があるのではないか。そのために弁護士に何ができるのか。そんなことを改めて考えさせられるシンポジウムでした。