『弁護士としての人権擁護研修』へのモヤモヤ

福祉施設や団体から研修の依頼を頂く場合に『弁護士として人権擁護についての研修をしてほしい』というオーダーが多い。僕みたいな若僧を講師にお呼び頂けることは有り難いと思いつつ、そうしたオーダーにはどこかモヤッとするところもある。
だって福祉職も人権擁護の専門家じゃないですか。それなのに弁護士こそが人権擁護の専門家、弁護士の方が人権擁護感覚に長けているかのように留保なく言われると福祉職でもある僕はどうしても抵抗を感じてしまう。
そもそも福祉と司法とでは人権擁護の内容やアプローチ、専門性が異なる。法令遵守や自由権的発想に基づいた人権擁護であれば確かに弁護士の方が長けているけれど、その他生活領域やその人の幸福追求という観点での人権擁護に関して言えば福祉職の方が遥かに専門なわけで。そうした専門性や尺度の違いはどれくらい意識されているのか。法令遵守の問題と人権擁護の問題が混同されてはいないか。
もちろん、それでもあえて弁護士としての僕に期待されている趣旨はよくわかるのだけれど…。自分に求められている役回りは異質性のスーパービジョンないしコンサルテーションであることは理解しつつも本音としては同じソーシャルワーカーとして同じ目線で一緒に悩み考えたい。そんなモヤモヤ。
福山和女先生が福祉職の人材育成は現実的に異質性のスーパービジョンに頼らざるをえないという趣旨のことを仰られていたように、僕の現在のポジショニングでは異質性のスーパービジョンを目指すべきなんだろうなぁ。