専門職大学院の後期授業が開始。本日は『IPW』という多職種連携に関する授業。多職種連携はアフターケアや地域福祉に並んで昔から探求してきたテーマでもあります。
連携という言葉はあちこちでよく聞くワードですが、実際にはなかなかうまくいかないというか、マジックワード化していて、連携とは名ばかりの丸投げや抱込み、あるいは支配も少なくないのが実際。
そんな中でどうすれば連携がうまくいくのか、そもそも目指すべき連携とは何かを日々考え試行錯誤しているのですがそのヒントがたくさん学べそうで楽しみです。
実は約3年前に発刊された日本評論社の「対話がひらく こころの多職種連携」という書籍に多職種連携に関する論文を寄稿したことがあるのですが、今日の授業でそちらの論文を取り上げて頂けました。
この論文は司法や福祉等の多領域やあるいは児童相談所やアフターケアといった多職種連携が求められる現場で日々揉まれている中でのモヤモヤをアウトプットしたものです。それが今回、専門職大学院の多職種連携の授業の中で取り上げて頂けてとても嬉しいです。
その中でも特にご好評頂いた部分をご紹介します。ご感想等頂けましたら幸いです。
『スーパーマンと多職種連携』
支援の現場では時折多職種の役割を横断したバイタリティー溢れるスーパーマン的な支援者が現れ支援困難とされていたケースが目覚ましい展開をみせることがある。このような突破力やカリスマ性を備えた支援者もまた支援の現場ではなくてはならない存在である。
しかし、多職種連携という視点で考えたときにはこうしたスーパーマンの存在が連携を阻害している面も否めない。既存の支援機関がスーパーマンの存在を頼りにしすぎたり、逆にスーパーマンのカリスマ性に委縮しすぎたりして本来の役割を果たせなくなるおそれがある。
また、こうしたスーパーマンに周囲の支援者が頼りすぎた結果、地域の支援困難なケースが次々とスーパーマン的支援者のもとに寄せられ、結果的にスーパーマン的な支援者自身が疲弊して倒れてしまうおそれもある。
スーパーマンの存在を頼りにしていては属人的な支援モデルからは抜け出せず支援の持続可能性は保たれない。
多職種連携の場面においてはスーパーマンの存在を前提としない連携モデルを目指す必要があるし、スーパーマン的な支援者においては他の職種の本来の役割を奪ってしまわないようにする配慮が求められる。
かく言う私も弁護士資格に加えて社会福祉士や精神保健福祉士の資格を取得しようとしたときには、スーパーマン的な支援者への憧れを抱いていたと思う。
そして、実際に各資格を取得して多職種連携が求められる実務に携わるようになって感じたことは、個の支援者としてなんでも抱え込もうとしていた自身の傲慢さと抱え込みではなくつながりの中で支援をしていくことの重要性であってスーパーマンになろうとする必要なんてなかった。
多職種連携は各分野のスーパーマンが集まった精鋭集団である必要はない。むしろひとりひとりは無力さ限界を感じている弱い存在である方が望ましい。ひとりひとりが弱い存在だからこそ多職種とつながることでなんとか支援をしていこうとする基盤が育っていくのだと思う。