インターネット上の誹謗中傷と法規制等をテーマとした日弁連のシンポジウム。もともと関心あるテーマでしたが、自分自身もつい最近、誹謗中傷被害を経験したこともありより真に迫って考えさせられる内容でした。
現状、誹謗中傷被害を受けた側が多大な身体的、精神的、金銭的な労力を割かないと誹謗中傷を止めることもできないというこの非対称的な構造。
対抗言論とはいっても圧倒的な暴力として向けられる誹謗中傷に対抗していける人はどれだけいるでしょうか。守秘義務や個人情報による非対称性もあるから対抗しようにも限界もあります。
僕は表現の自由は重んじる立場ですがテクノロジーや文化の発展に利用する側のリテラシーやモラルが追いついていない現状を考えれば被害救済、加害抑止のための法規制が進むのは必要やむを得ないとも思います。誹謗中傷を安易に助長してしまうような構造にも手を加えていく必要があるかと。
一方で木村花さんのお母様の木村響子さんの発言にもあった加害してしまう側のケアの視点も必要。誹謗中傷に至ってしまう背景には単なるリテラシーやモラルの問題だけではない、蔑ろにされてきた人達の悲痛な叫びもあるのだから、その現実には向き合っていかないといけないでしょう。
個人的な問題意識としてインターネット上の社会運動にも法規制とまではいわないにしても何かしらのガイドラインというかルールが必要ではないかと思う部分があります。
現状、ではデマでもなんでも流布したものが勝ちという雰囲気があります。そうしてデマを流された本人のみならず、それにより不用意にトラウマを刺激された人達まで振り回され傷つき消耗させられている。
戦争にだって一定のルールはあるのに、ネット上ではルールも何もなく、今や実弾並に凶悪になりつつある誹謗中傷の言葉が飛び交う。
もちろん、それが抑圧され声をあげる手段が限られる人達の表現の自由を奪うものになってはいけないです。そのバランスをどう取っていくのも容易なことではないと思うけれど、インターネットを社会運動に使おうとする人達がもっと意識的に考えていかないといけないと思います。