私が担当していた裁判員裁判対象事件の公判が終結しました。認めの事件であり、かつ執行猶予中の再犯ケースで内容的に再度の執行猶予が難しいケースであったため、いずれにしても実刑は免れず、どれだけクライエントである被告人の事情に共感して頂き減刑が求められるかが争点でした。
これまで培ってきた法廷弁護技術に加えてソーシャルワークの視点を活かして被告人本人のエンパワメントや環境調整の事情を主張に反映させてみました。
結果としては量刑、判決理由ともに弁護側の主張がほぼ全面的に認められる形となりました。
しかし、今回驚いたのは裁判長から判決理由の説明や説諭が終わった後のこと。裁判長から2人の裁判員から被告人宛に手紙を預かっていると説明があり、裁判員からの手紙の朗読がなされました。
裁判員裁判はかれこれ7件目ですが裁判員から手紙を頂くということは初めての経験だったので驚きました。
手紙の内容は被告人本人の事情をよく理解し、共感頂いたうえでこれからの服役や社会復帰に向けた激励のメッセージであり、被告人本人はもちろん横で聞いている私も思わず感動して涙が出ました。
私自身は刑事手続の諸原則との関係から考えれば裁判員裁判という制度そのものについては懐疑的な立場ではありますが、今回のこの事件に限っていえば裁判員裁判という形で行われて良かったと思います。弁護人や裁判員からの言葉以上に裁判員からのメッセージはご本人の心に強く響き今後の糧となっていくものだと思います。
主張の組み立てや準備等はまだまだ改善すべきところも多いのですが、引き続き法廷弁護技術も磨いていきたいと思いました。