【研修講師】千葉市里親認定前研修「子どもの権利擁護」

先日は千葉市の里親さんの認定前研修で「子どもの権利擁護」に関する講義を担当させて頂きました。
僕が「子どもの権利擁護」についての講演や研修を行うときに必ず心がけていることがあります。
それは、まず同じ人間が人間扱いされていないのが当たり前であった時代までさかのぼり基本的人権の考えから解説をします。そしてその考えが日本に取り入れられてから実はまだ100年も経っていないことにも。
そして日本でも人権擁護のための戦いの歴史があったことを障害者の権利擁護運動等を例に解説します。そこで問われたのは同じ人間として共に生きることであったことも。
そのうえでようやく子どもの権利について解説しますが、子どもの権利条約の条文をただ説明するのではなく、そのコンテクストを知ってもらいたいと思いコルチャック先生のお話をします。
子どもの権利がテーマなのに本題に入るまでに研修時間の半分くらいをこうした話をするので戸惑われる方もいるかと思いますが、でもこうしたコンテクストを前提としたうえで子どもの権利擁護とは何かを考えていくことが大事だと思います。
昨今、子どもの権利擁護の機運はとても高まっています。ただ違和感を感じるのは子どもの権利は守るけれどそれ以外の権利は蔑ろにしていい、犠牲になるのは当然というような論調を感じます。こうした論調を前提とした権利擁護運動は色々な歪みを生み出しているし、現場を混乱させている面も否めないのでは。
子どもファーストという考え方は、様々な立場や利害の対立や主義主張の違いは前提にしてそれでも目の前の子どものために同じ方向を向いていこうという考えです。子どもを優越的地位に起き他者を支配したり、犠牲を強いたりすることを容認する考えではありません。
これから里親さんになろうとされるくらい子どもへの思いが強いともしかしたら、虐待に至ってしまった実親さんへの怒りだったり、あるいは我が身を犠牲にしてでも子どもを育てようと気負ってしまったりするかもしれない。
そうした思いが力になることもあるかもしれないけれど、それが苦しみになることもある。子どもだけでなく大人も尊ばれる社会を目指したい。だからこれから親になろうとする人はまず自分を大事にしてほしい。それが子どもにとっての安心安全につながるから。
そんな願いをこめてお話させていただきました。

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