【書籍紹介】権利擁護がわかる意思決定支援 法と福祉の協働

ここ最近、権利擁護とかアドボカシーに関しておすすめの書籍はとよく聞かれるので参考にご紹介。昨年あたりから権利擁護とかアドボカシーと名のつく書籍を色々読み漁ってきましたが、その中でも特におすすめの書籍がこちら(主に現場支援者向け)。
権利擁護がわかる意思決定支援:法と福祉の協働 日本福祉大学権利擁護研究センター
「権利擁護」とか「アドボカシー」といった言葉はとにかく多義的で文献によってバラバラの定義、概念の中で論じられがちだったり、高度に抽象的すぎて現場向けでなかったりするのですが、この書籍はそうした概念をわかりやすく整理した上で、現場支援者向けにも意見表明支援や自己決定支援とは何かということを漫画等を用いてわかりやすくコンパクトに解説されています。
この書籍のおすすめポイントは特に混同されがちな司法・法律学と福祉・ソーシャルワークにおける権利擁護、アドボカシー概念や役割の違い等にもついても丁寧に解説されています。
また、条約や理論に基づく理想を示しつつも、ただ理想を語るだけにとどまらず現実的な実務事情や葛藤、ジレンマについても率直な言葉で解説されているので現場支援者が違和感なく読める内容だと思います。
主に専門職によるアドボカシーを想定した内容ではありますが、独立型アドボカシーが直面しやすい葛藤、ジレンマや危険性等も言語化されているので昨今の独立アドボカシーの実践のうえでも参考にもなるでしょう。
取り扱われている事例は障害者・高齢者の事例が中心ですが子どもの場合にもほぼ当てはまる内容なので子ども関係の方にもおすすめです。